うさぎのくにへ

作者   ジビュレ・フォン・オルファース
訳    秦 理絵子
発行年  2003年4月20日(日本語訳)/1906年(原作)
ページ数 22ページ
出版社  平凡社

https://www.heibonsha.co.jp/book/b162352.html

一言紹介

子どもの順応性ってすごいよねっていう絵本

レビュー

読みやすさ ★★★★★ リズムを取りやすいように文字数が工夫されている。
絵     ★★★★★ ちょっとレトロで繊細な絵。ウサギの服を着た子どもがかわいい。
ユニーク  ★★★☆☆ 古典的なファンタジー絵本。

おすすめシーン

読み聞かせ ★★★☆☆ やさしさあふれるファンタジー。
寝る前   ★★★★★ 優しい絵、程よい文章量で寝る前にもピッタリ。
プレゼント ★★★☆☆ なかなか古い本なので、きっとかぶらない。

概要

子どもが森でウサギに連れていかれるお話。

眠っている双子であろう子どもたちが、森番の父に連れられて、森の中にいる場面から始まる。
子どもたちが眠っている間にキノコを採ろうとして目を離した隙に、母性溢れるウサギに子どもたちが連れされられてしまう。

母ウサギは、自分の家に子どもたちを連れ帰る。そこにはウサギの子どもたちがおり、子ウサギたちは母ウサギが人の子どもを連れてきたことに驚いた。
初めは人の子どもたちがいることに落ち着かない子ウサギたちだった。
母ウサギが人の子どもたちにウサギ型の服を縫って、着せてあげることで、人の子どもたちはすっかりウサギの仲間になった。

ウサギと人の子どもたちは、一緒に木の実を食べたり、仲良く畑へ散歩へ出かけたりした。
そのとき、森の番人である父が犬とともに現れ、ウサギと人の子どもたちは一目散に逃げた。
しかしながら、人の子どもは転んでしまう。
そこへ犬が飛び出し、人の子どもたちを連れて戻ってきた。

父は二人の子どもたちを抱えて、悲しみに暮れていた母のもとへ戻った。

感想

子どもってそんなに環境に順応してしまうのか!?と思う一冊でした。

感想の前置きとして、「子どもから目を離すなよ」とか「かってにつれていくなよ!」とか「森一番って、世界一とかじゃないのかよ!」という思いは、置いておきます。

この絵本を読んで一番面白かったのは、絵本の後半で森番が現れたときに、森番は人の子どもたちの本当の父であるのにもかかわらず、子どもたちがウサギたちと一緒に逃げようとしたところです。
ウサギスーツを着てウサギと一緒に過ごす内に、本当にウサギの家族になってしまったのです。

その後、家に戻り本当の母に会った子どもたちは、手を伸ばして母を求めるような描写がされています。
さっきまでウサギの家族として、父から逃げようとしていた子どもたちですが、家に戻ったら元の人の子どもに戻っているのでした。

考えてみたら、子どもたちは自分だけでは生きていけないという意味で、弱い存在です。
環境に順応して生きていくしかありません。

社会の中の個人もそのような場面が多くあると思います。
資本主義社会ではお金を稼ぐ必要があります。
多くの人がお金の稼ぎ方としてサラリーマンをしています。
組織の中で個人は弱い存在で、その組織の環境に準じて仕事をしなければなりません。
ウサギという狩られる側の環境に身を置くのか、人という狩る側の環境に身を置くのか、できれば狩る側の環境に身を置きたいと思ってしまいます。

そんな感じで、子どもに限らず、身を置く環境って大切だなぁと思わされる絵本でした。

コメント

タイトルとURLをコピーしました