せかいでいちばんつよい国

作者   デビット・マッキー
訳    なかがわ ちひろ
発行年  2005年4月25日
ページ数 30ページ

出典:http://www.mitsumura-kyouiku.co.jp/ehon/30.html

一言紹介

戦争に対して自分たちにできることを考えさせてくれる絵本

レビュー

読みやすさ ★★★★★ 一文が長くなく、読みやすい。
絵     ★★★★☆ 戦争という題材でも重くなりすぎないポップな絵。
ユニーク  ★★★★☆ メッセージ性のある王道な絵本。

おすすめシーン

読み聞かせ ★★★★★ 読みながら、子どもと話し合いたい一冊。
寝る前   ★★★☆☆ 寝る前に読むには重め。
プレゼント ★★★☆☆ プレゼントより親が買ってあげたい絵本。

概要

ある国が世界中の人々を幸せにするために、世界を征服しようとしたけれど、結末はその思惑とは違うものになってしまったお話。

あるとても強い国は、自分たちの暮らしほど素敵なものは無いと考えていた。
自分たちが世界を征服することで、世界中の人々が幸せになれると考え、武力をもって他の国々を征服していった。

征服されずに残ったのは、小さくてほおっておかれた国だけになった。
最後に、強い国の大統領は兵隊を連れてその小さな国にも攻めに行った。

ところが、小さな国には兵隊がおらず、戦いにはならなかった。
それどころか、強い国の大統領や兵隊たちは小さな国の人々にもてなされて過ごした。

その小さな国の遊びや昔話、食べ物、音楽といった文化は、強い国の人々にとって魅力的なものたった。
そのことが強い国の祖国に手紙や帰国した兵隊たちによって伝えられた。

ある日、多くの兵隊を小さな国に留めておく必要はないと考えて、強い国の大統領は祖国に帰った。

久しぶりに帰った祖国で見た光景は、小さな国の文化であふれていた。
大統領は、その文化を戦争の戦利品であるように語り、その晩の子守歌に小さな国の歌ばかりを歌った。

感想

ほんとうの「強さ」とは何だろうか、と考えさせてくれる絵本。

武力という強さは持っていなかった小さな国でしたが、強い国よりも魅力的な「文化・暮らし」を持っていました。
強い国は自分たちの暮らしが一番素敵だと思い込んで、その暮らしで世界を幸せにするために他の国を征服していった結果、小さな国のもっと素敵な暮らしに染まってしまいました。

「いったい強い国は何をやりたかったのか?」
「強い国のやっていることに意味があるのか?」
「自分たちが守りたいものは、何なのだろうか?」
「自分たちを守るために大切なことって何だろうか?」
そんな皮肉を交えてたくさんのことを考えさせてくれるところが、この絵本の好きなところです。

また、戦争の絵本だと、どうしても暗くて怖いイメージの絵が多くなってしまいますが、この絵本の作者は「ぞうのエルマー」を書いているデビッド・マッキーで、カラフルでとても親しみやすい絵となっています。
そこも子供たちに読んであげたくなるポイントのひとつです。

テレビで戦争についてたくさん報道されている今だからこそ、ぜひ皆さんも子どもたちに読んであげてみたらいかがでしょうか。

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