風さん

作者   ジビュレ・フォン・オルファース
訳    秦 理絵子
発行年  2003年9月20日(日本語訳)/1910年(原作)
ページ数 22ページ

風さん 絵本

出典:https://www.heibonsha.co.jp/book/b162377.html

一言紹介

目には見えない風の魅力がわかる絵本

レビュー

読みやすさ ★★★★★ リズムを取りやすいように文字数が工夫されている。
絵     ★★★★★ ちょっとレトロで繊細で優しい色合いの素敵な絵。
ユニーク  ★★★★☆ 近代の人気絵本とはちょっと違う。

おすすめシーン

読み聞かせ ★★★★☆ 風がどんなものなのか感じられる絵本。
寝る前   ★★★★★ 優しい絵、程よい文章量で寝る前にもピッタリ。
プレゼント ★★★☆☆ なかなか古い本なので、きっとかぶらない。

概要

子どもが風と楽しく遊ぶお話。

水辺で船を浮かべて遊んでいる男の子と、木の上に座っている擬人化された風さんの場面から始まる。
男の子はどこかさびし気にしているが、風さんが船を風で進めてあげると、男の子は嬉しそうにした。
そのあと、男の子は風さんに手を引かれて野原を走り回ったり、雲にのったりして遊びまわった。

最後に男の子と風さんは、男の子の家の前でまた遊ぶ約束をして別れる。

感想

風の魅力となんとも懐かしい無邪気な感覚を思い出した一冊でした。

【風の魅力】
この絵本では、風が水に浮かべた船を動かしたり、木の実を落としたり、木の葉を吹き散らしたり、雲を動かしたりする場面が描かれています。
風によって起こる現象を描くことで、小さな子どもにも風がどのようなものかをわかりやすく伝えてくれる絵本だなぁと思いました。

さらに、子どもが風さんと遊んでいると、だんだんと表情が明るくなっていきます。
風は、ものを動かすだけではなく、子どもを笑顔にすることもできる素敵な存在だなぁと改めて感じることができました。

【子どもの無邪気さが思い出させてくれること】
大人になってしまえば、強い風は厄介なものでしかなくなってしまいます。
この絵本を読んで、そんな強い風も子どもの頃は楽しいものでしかなかった感覚を思い出しました。
雷や雪も同じですよね。
いつの間にか、やらなければいけないことや守らなくてはいけないものが増え、様々なトラブルの原因となる自然現象を厄介なものとして感じるようになってしまいました。
好きなものが多ければ多いほど、人生は豊かになり、人にも優しくなれると思っています。
それなのに、前は好きだったものを、今は厄介に感じてしまうことは、もったいないことだなぁと思わされました。

風の魅力を感じさせてくれるとともに、人生の振り返りをさせてくれる絵本でした。

ジビュレ・フォン・オルファースについて

ちょっとレトロで繊細な絵と詩的で吸い込まれる文章に惹かれて、作家さんのことを調べてみました。

ジビュレ・フォン・オルファース

https://hatarieko.com/book/

1881年にドイツで生まれ、1916年第一次世界大戦のさなかに発作で亡くなられたそうです。
37歳という短命の生涯で、8冊の絵本を残され、今でもドイツでは人気の絵本作家さんのようです。
貴族の生まれで、幼いころから絵を習い、20代で修道女になっても絵を学び続けたそうです。

短命であられたことを知り、もし長く生きられたら、もっとたくさんの素晴らしい絵本を残してくれたんだろうなと思い、少し残念な気持ちになりました。
まだ、「風さん」しか読んだことはありませんが、他の作品も読ませていただこうと思います。

もう少し詳しく知りたい方は、翻訳された秦さんのHPもご覧いただくといいかと思います。

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