しっぽがない!

作者   犬塚則久 文 / 大島裕子 絵
初版   2018年6月10日
対象年齢 読んであげるなら ー
     自分で読むなら  小学中学生から
ページ数 40ページ

出典:https://www.fukuinkan.co.jp/book/?id=5716

一言紹介

疑問を解決する楽しさを学べる一冊

レビュー

読みやすさ ★★★★☆ 絵本の中では文字が多いほう。絵本と本の中間。
絵     ★★★★★ リアルと擬人化のバランスがいい。
ユニーク  ★★★★☆ 絵本の体裁でいきものの進化を学べる。

おすすめシーン

読み聞かせ ★★★★★ いきものの進化について子供と一緒に学べる一冊。
寝る前   ★★★☆☆ 学ぶ系の絵本なので寝る前より昼のほうがおすすめ。
プレゼント ★★★☆☆ 幼い子にはちょっと難しい。

概要

擬人化された動物たちと人間の子供が、進化の不思議について探求していく物語。
多くの種類の動物と人間の子供が、学校の教室で一緒に授業を受けている場面から始まる。
犬の先生である犬山先生が、教室にいる動物たちの共通点について問い、動物たちはお互いを見合い、どこが共通しているのか話し合っていた。

結論として、犬山先生は「骨」があることが共通点だとして、骨のある動物には「しっぽ」があるといった。
そこで問題が生じた。
コアラのふくろいくんと、人間のあだちさんにはしっぽがなかったのだ。

なぜしっぽがある生き物とない生き物がいるのか、探求が始まった。
探求は様々な方法で行われた。

まず、似ているがしっぽの有り無しで異なる生き物の比較から始めた。
種類や大きさ、住んでいる場所が似ている生き物の比較をしたが、なかなかしっぽの有り無しによる共通点が見つからず、この調査は失敗に終わった。

次に、しっぽの使い方について調べ始めた。
しっぽの役割は様々あり、しっぽのある生き物はみんなしっぽを活用して暮らしていることがわかった。
夏になり、海に行った二人は、海の生き物のしっぽの役割は泳ぐことただ一つであることを知った。

海に疑問の解決につながる何らかのヒントがあると考えた犬山先生は、二人に海に住む長老たちに話を聞きに行くように指示をする。
長老たちに、生き物の進化について聞き、昔の生き物の形から今の生き物の形にどのように移り変わってきたかを見て、なぜそのように移り変わったのかを考えるべきであることを言い渡された。

そこから進化する過程の中で、体の中で仕事をする部分が大きく発達し、仕事をしない部分が小さく退化していったという結論が導き出され、しっぽの有り無しの疑問は解決される。

感想

疑問を解決する具体的なプロセスを学べる一冊でした。
課題解決の過程は具体的に書かれており、子供にとっても疑問に思ったことをどうやって調べたらいいのか、その道しるべにはなったんじゃないかと思います。
結局は、しっぽの疑問の解決へのシナリオを詳しい長老に聞いちゃうんだけど、そこまでに考えたり調べたりしたことが、結論の理解へつながっていて理解が深まりました。

自分自身も知らないことがたくさん書かれており、「そうなんだ」と思う場面がたくさんありました。
特にふくろ状一門の誕生からのしっぽの有り無しの進化の分岐は、初めて知ったことだったので面白かったです。

大人も子供も知的好奇心がくすぐられる一冊でした。


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